神棚の設置

神棚の設置をする前に・・・まずは「心構え」のお話からはじめさせて頂きます。

最初の心構えとしては、「何の為に神棚を置きたいのか?」を自分自身に何度も確認しておくことが大事です。

神棚を置くことをあまり難しく考えて欲しくはないのですが、これから長いお付き合いになる神棚、どう心がけていくか、どう成長しあっていくのか、これから何度も振り返り、向きあう事になりますので最初の「目的」や「初心」が大切だと考えています。

「どう成長しあっていくのか?」

これは言い回しがおかしいかも知れませんが私は常々そう考えております。神棚は神様が鎮座されるただの木の箱ではございません。神棚は「自分と向き合う」「自分の心の表れ」とも言えるのです。

神棚を設置をさせて頂いたお宅にしばらく経って拝見させて頂くと・・・・神棚を一目見るだけで、大げさに言えばその方の心が解かります。

埃だらけで榊は枯れ、水やお酒も入ってない状態。反対に清潔感に溢れ、きちんと手入れが行き届き神棚自体が生き生きとされている方。

こちらが甲乙をつけさせて頂く訳ではございませんが、そこにはその方の生きる姿勢や、日常の生活の中で見えないものをいかに大切にしているのか、傍から見れば一目瞭然です。

普段は「神棚のお世話なんてとてもとても無理」とおっしゃっている方々も「見えないものを大切にする」という視点から見れば同じ事ですね。大切な基本です。

「心構え」

欲を言えば「自身の欲に対して無欲」となりましょうが(苦笑)

神様と共に歩きたいとお考えであれば少なからずやそこには「今以上に満たされたい」との思いがあるのが人間です。これは決して悪い事ではございません。そこに祈りやお願いするだけに頼らない「本人の努力」があればより良い人生を送って頂けると思いますし、その意味を含めて「共に成長する」との心構えをまずは一つ持って頂ければと思います。

ひとつ余計なことを申せば・・・店主自身、そうマメな方でもなく毎日やってるのは榊の水換えと水玉の水換えぐらいです・・・・・そう最初より難しく考えずともまずは好きなモノをより一層好きになる為の心の準備ぐらいが丁度良いと思います。


神棚の設置②-1 神棚の選び方(神棚の種類と形)

「よし。自分も神棚を置いてみよう!」そう思われた方が一番初めに迷われるのは・・・

「自分に合った神棚選び」ではないでしょうか?

普段、知る事のない特殊な知識が多く神棚(宮形)を置きたい意志があっても、ついつい二の足を踏んでしまいますよね。そして神具店に行かれて更に迷われる結果に・・・

理由はそのお値段です。

思った以上に安いものから、びっくりするほど高価なものまで。さて困りましたね・・・・あなたは何を基準にして選べば良いのでしょうか??一体、神棚を選ぶにはどんなルールがあって、なぜこのように金額の幅が大きいのでしょう?

お札だけをそのまま立掛けたり、壁に貼りつけてある方も見かけますが、出来ればきちんと神棚に入れて頂きたいですね。お札も色あせてしまいやすく、神様は何よりも穢れ(汚れ・気枯れ)を嫌われます。(壁に貼る方法もいずれ説明させて頂きます。)

ここでまずは簡単に神棚の説明をさせて頂きます。

神棚とは正式には宮形(みやがた)と呼ばれるものです。本来の意味で使われる「神棚(かみだな)」とはこの宮形や神饌を載せる台の事(棚板)。これがいつしか一緒に「神棚」と呼ばれるようになりました。

この神棚(宮形)は神社より頂きました神様の分御霊(わけみたま)を収める為の神社の形を模した箱ですが、普通はこの神棚に3枚のお札を収めます。これは日本民族の産土様であり、天皇家の氏神様にあたられます「天照皇大御神(あまてらすすめおおみかみ)様」、また自分の生まれ育った場所や地域の守り神様「産土・氏神様(うぶすな・うじがみさま)」、そして自分の気に行った社や縁のある神様が祀ってある神社「崇拝する神社」ですね。

全部揃えないといけない事はないのですが、もし一枚だけを選べと言われたら「天照皇大御神様」のお札は必ずお受けされてください。(お札についての詳しい話はコチラを参照してください⇒お札について

ほとんどの神棚は「伊勢神宮」をモデルにして作ってあり、「神明造り(しんめいづくり)」と呼ばれているものが多いのですが、その他にも「切妻造(きりつまづくり)」「入母屋(いりもやづくり)」といろいろとございまして複雑(細工、彫り物など)になればなるほど金額はあがります。ほかに屋根を除いた箱宮型のものなどもあります。

そして、扉が一つのものは一社宮、扉を三つ持つ三社宮、同じく五社宮、九社宮、十二社宮・・・・・となりますが、これは神棚を設置する場所の寸法をあらかじめ計った後、決めて頂くのが一番良いかと思います。

どんな神棚をどういうふうに置きたいのか?

「造り」(神棚の形)はそう決まり事はないのでお好みで選んで頂いて結構です。扉の数は一社でも十分に対応できますし、扉が多くなればなるほど材料が掛っているのでやっぱり金額も上がりますし、横にも長くなってきます。


神棚の設置②-2 神棚の選び方(素材について)

神棚は、檜(ひのき)・杉・欅(けやき)が三大材料ですね。

檜の中でも、伊勢神宮で使用されている「木曽檜(きそひのき)」はその木肌や目の美しさ、香りの高さや清々しさをとってみても人気の材料です。

はじめに梱包の箱を空けられた時のプンと漂う檜の香りを嗅げば心地よい気分に包まれます。木肌は白の木肌が淡いピンクに染まっており、使えば使うほど落ちついた色合いになってきます。
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「木曽通し三社」
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長野県で国が管理している国有林で式年遷宮(しきねんせんぐう:約1300年前より、20年に一度、伊勢神宮では社殿が造りかえられます。)の際に使用されるものがこの木曽檜ですね。旧殿で使用された材木は各神社へ配られ再利用されます。

最近はブームもあって、屋久島で採れる「屋久杉(やくすぎ)」も有名です。屋久島は栄養の少ない土壌(ほとんどが花崗岩)の上で成長し、湿度の多い気候の為にその木目はつまっていて成長率も低く、普通の杉の約4倍は樹齢が長いそうです。

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「屋久杉一社」
携帯の方はこちら→「屋久杉一社」

欅(けやき)はその木の性質上、乾燥によってかなり曲がり易く、家などの高級建築物に良く使用されておりますがかなり長い年月、寝かせておかないと使えないそうです。

他には神代杉(じんだいすぎ)と呼ばれているものもございますが、ここでは材料についての詳しいお話は割愛させて頂きます。⇒ 「神代杉とは」

材料と、その使用する部分(美しい柾目が最上とされております)によって金額は大きく変わってきます。神棚(宮形)を選ぶ際の参考にしてください。

何度も申しますが、金額によって神様がお降りになる善し悪しは関係ありません。

しかし、お手頃なホームセンター等に良く置いてあるラワン材や外国産の木材を使ったものはお値段もお手頃な設定ですが、どうしても使っている内に湿気や材料の劣悪によって歪みや反りが出てくるなどの苦情も今までみてきました。歪みや反りは、神棚の構造上、扉が動かなくなったり外れやすいなどの欠点もございます。

ちなみに店主がはじめて自宅に設置した神棚はホームセンターで購入しました。

釘をほとんど使わない神棚は、見えない所で接着剤を多く使用しております。が、この接着剤がしっかり見えていたり・・・・・使って半年もしない内に掃除の際に屋根の部分がカポッと外れ・・・・・結局、新しいしっかりとしたものを買い直した経験がございます(苦笑)

ご購入の際はご自分の財布と良く相談されて決めてくださいね。

神棚の造りと材料

この二つが大きく金額に響いてきますので、この2点を考えてまずは大方の予算を決めると良いでしょう。

後は場所にあっているか?(設置の場所・雰囲気など)ここを押さえておけば、そう深く考え込む必要はございません。

心構えでも書かせて頂きましたが「目的」と「祈る心」が一番大切、これをお忘れなく!

神棚の設置③ 必要な神具

最近では一人暮らしのマンションに神棚を祀る方やご家族と同居でもご自身の部屋へ設置する方も増えて参りました。全部が全部必要なわけではありませんが、これだけあれば十分という範囲でまずはご紹介させて頂きますね。

神棚(宮形・札宮)かみだな(みやがた・ふだみや)

本来はお札を収める神社の形をした箱が「宮形(みやがた)」と呼ばれ、普段わたし達が口にしている「神棚(かみだな)」とはその宮形を置く板の事(棚板)と同義に近いです。しかし、現在では総称して「神棚」と呼ばれています。一社造り、三社造り、五社造り、多いものでは九社・十二社などがございます。(当サイトでは解り易く一般的に呼ばれる「神棚」という呼称を使わせて頂いております。)

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「神明造 力柱一社」
携帯の方はこちら→「神明造 力柱一社」

榊立て(さかきたて)

榊を立てる器です。あまり小さいと倒れやすいのでご注意下さい。棚板のサイズは神棚(宮形)とこの榊立てを参考に測って下さい。また大きければ大きいほど水の量が増えて榊が枯れにくいのですが・・・その分、棚板に重量が掛りますのでその辺りもご注意ください。

瓶子(へいし:お酒入れ)

瓶子(へいし、へいじ)とは神棚にお供えするお酒を入れる器です。口のあたりが細くすぼまった形をしています。店主は市販の瓶子は口が小さく入れにくい、またカビがきても見えにくいのでそのまま一合瓶を置いています。透明の瓶で口が小さいもの。中身がよく分かるものが便利です。

水玉(みずたま:水入れ)

神棚にお供えする水を入れる器です。「蓋をどうするのか?」の質問は良く頂くのですが、正式には蓋を取ってお供えします。そのまま外して保管して頂いても結構ですし、口の上に横に寝かせて載せておけば場所を取らず邪魔にもなりません。

平瓮(ひらか:供え物入れ)

平瓮(ひらか)とは神棚にお供えする供物(神饌)を載せるお皿の事です。神棚のサイズに合わせて最低、二枚必要です(塩と米用)。他の供物を載せる場合にも重宝しますが、店主の場合は足りない時は常時私用で使っている白いお皿を使う事も多いです。たくさんの供物を一度にお供えする場合は平瓮のサイズだけでは限界があります。

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「供物入れ7点セット(中)」
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ご神鏡(ごしんきょう)

ご神鏡とは神様のめどうとなる鏡です。見えない自分の心をご神鏡に映して自身を振り返るために使います。

ご神鏡がない神棚が多いのですが、やはりあった方が締まります。神社では神様に宿って頂くご神体としての扱いだったり、また自分の心を写して省みるという意味が含まれております。ご神鏡を置かれる方はニッケルメッキ加工がされているかを確認された方が良いと思います。若干、金額は高めにはなりますが拭いた後、ほとんど曇りがありません。

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「ご神鏡1.5寸」
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以下に挙げる神具は絶対にないといけないものではございませんが、知識として参考までに書かせて頂きます。用途や神棚の環境に合わせてお選びください。

高杯(たかつき)

高杯とは平瓮と同様、供物を載せる台です。平瓮と比べると背が高く、高い所にある神棚には不向きです。

三宝・三方(さんぽう)

三宝とは、供物の載った平瓮や高杯を載せる木の台です。しかし実際には神棚の前方の場所をかなり取りますのでこれも都合に合わせてお使いください。

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「長手三宝7寸」
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折敷(おしき)

折敷とは三方と同じく供物を載せる台です。木枠の縫い目が付いている側を手前に持ってきて使用します。

灯明(とうみょう:ロウソク立て)

灯明とは神様に供える灯火のことです。今では電気式の豆電気を光らせるものも多いようですね。自宅では特別な時以外は使っていません。神棚が高い位置にある場合は天井を焦がしたり等、危険が多いので火を扱われる場合は十分にご注意ください。

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「灯籠6寸(約18cm)」
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狛犬(こまいぬ)の置物

稲荷様を祀られる場合は狐さんの置物になります。狛犬は阿吽(口を開いている・閉じている)で一対となります。一般の神社では、社そのものや鎮座される神様を守られる「ご眷属(けんぞく)」様として置かれているようです。

鳥居(とりい)

「鳥」は古来より神様をあわらし、そこをくぐる事によって神社の聖域と俗界の境界線とする説が一般的です。神明鳥居(しんめいとりい)・明神鳥居(みょうじんとりい)・鹿島鳥居(かしまとりい)など細かく別けると数多くの種類がございます。(当店で扱っている神棚用のミニ鳥居は鹿島鳥居です。)

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「鳥居」
携帯の方はこちら→「鳥居」

注連縄(しめなわ)

宮形の全面か、場合によっては宮形より上部に取りつけます。大根締め(片方が太い)・ごぼう締め(両方細い)・輪飾り・鼓胴(つづみどう)などの種類があります。向かって左を結いはじめの細い方に、向かって右が太い方となります。

真榊(まさかき)

真榊とは神事の際に祭壇の左右に立てる祭具です。神棚の両側に対をなし、五色の布がついています。天辺に榊、勾玉・鏡・剣と天戸開きの神話にちなんだ置物です。

鈴(すず)

神社ではお馴染ですがお客様の要望で何度かつけた事があります。付けていることの方が珍しいのですが過去にご依頼により、一度付けさせて頂きました。決してモノに拘る必要はないと思います。この時は鈴を手に入れて、手作りで作って付けさせて頂きました。

「天」「雲」

きれいな白い紙に「天」や「雲」と書いて頂き、神棚(宮形)の上に貼ります。マンションや二階建ての一階にある場合、足で踏まれ失礼のないようにする為です。(当店では彫り物(白木)の「雲」も扱っております。)

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「雲」
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金幣(きんぺい)

金幣とは竹や棒の先に金銀の紙垂(しで)を挟んだものです。ご神体の代わりに祈りをとおすものとしての意味合いが深いようです。

八足(はっそく)

神棚の前や下に置き、供物を載せる台として使用します。神社で使用されていたり、家での神祭の際に使われる事がございますが、普段はそう必要なものではありません。

以上、簡単な説明ですがご自宅の神棚や置けるスペースによって参考にして頂ければと思います。


神棚の設置④ お札について

設置に必要なもので一番大切なもの・・・・そう、それはお札です!

神札やこれを無くして神棚は有り得ません。お受けして頂きたいのは3種。

まずは全日本国民の氏神様になられます「天照皇大御神」様。「天照皇大神宮(アマテラスこうたいじんぐう)」と表面に書いてあったり、通称「お伊勢さん」とも呼ばれております。

次に必要なのが、産土(うぶすな)様のお札。この神様はその地で生まれてくる私たち最初から最後までしっかりと見守り続けてくださる神様、縁の深い神様です。産土様は「氏神様(うじがみ)さま」と間違えられやすいのですが本来は違います。(現在は同一視されている事が多いのですが理由は後ほど説明します)

産土様とはその方が生まれた場所、お腹にいる時よりお母様が実家に戻られたり、更にはしばらく入院して病院でお生みになる事がほとんどだと思いますがこの場合はお母様が生活されていた現住所にいらっしゃる「氏神様」を産土様とお呼びすると意味合い的にも分かり易いかと思います。

現在では引っ越しなどが多く、生まれた場所そのもので生活されている方の方が少ない時代です。氏神様とは、本来その一族の一番上のご先祖様を神様として崇め奉り、その一族の知り得る範囲での長がその名を頂きました。よく使われる「氏子(うじこ)さん」とは神社のお世話をされる方々の総称ですが、これも昔はその一族の子孫が祖先神を敬う意味も込められていたと思います。(現在では祖先・子孫はほどんど関係なく、その守護頂いている地域圏内に住まわれていたり縁のあった方々も広い意味合いでそう呼ばれていますね)一族の長、その一族が支配していた・影響力のあった場所、強いてはその地域を守って下さるという事ですね。

同じ場所で一生を過ごされれば氏神様=産土様となるのでしょうが、先ほども申しましたように今はほとんどが引っ越しをされる時代。出来ればご自身が生まれた場所の氏神様(産土様)がベストなんですが、もし調べても解らなかった場合では現住所の氏神様でも構いません。

また、良く頂く質問に「生まれた場所の氏神様(産土様)は判ったが宮司さんが常勤されてなく、お札が手に入らない」との声を聞きますが、出来れば各県にある神社庁に電話をして宮司さんと直接連絡を取って指示を仰ぐか(神社庁ではすべての神社を統括されている訳ではございません)手作りで作る方法もございます。(これは次の項目でご説明致します)

そして最後は「崇拝する神社のお札」言えば自分の好きな神社やお世話になっている縁の深い神様の神社のお札ですね。

扉が一つしかない一社宮も、三社宮も、それ以上に多い扉の神棚も最低、この3枚が揃えば理想です。天照様のお札は大抵の神社に置いてありますのでそこでお受けしてください。(“お受けする”です。“買う”や“購入する”との言葉は使いません)

入れる順番は「神棚の設置」で詳しくお話させて頂きますが、古来より日本人は大地の恵みに感謝しその恩恵の源に神様の存在があります。稲作という共同体においては、共同体の基いとなる「国」や、恵そのものを生みだす「土地」、そしてそこにある私たちの「心」を優先順位として個よりも公を尊んできた結果に私たちの現在が成り立っています。

役割があっても、どの神様が偉い・尊いという順番は古神道にはありません。どの神様も一列に存在されているものです。ただし祀る順番としては、「伊勢神宮(国)」「産土・氏神様(土地)」「崇拝の神(心)」と考えれば覚えやすいかも知れませんね。

神社でお受けされた際には「薄紙」で巻かれていると思います。これは神棚に納める前に邪気が入らない様に、設置の際には破って捨てて頂いて構いません。この時に、息を直接吹きかけるのは失礼に当たりますので、出来れば半紙などを口に加えて息が直接かからない様にするのがエチケットです。

また、皆さん間違われやすいのですが、お札にも二種類ございまして、「御神札(お札)」・・・紙製のもの。神様そのものと扱い頂いても構わないですし、本来はご神体に直接祈るのは失礼とし、そのご神体と同等として別のものを用意したと考えられるのが正解です。

「護摩札」・・・主に白木などが使われておりますが、元来は祈願用の目的がございまして恐らく神棚に入る寸法では・・・ないはずです。神棚と一緒にお祀りして頂いて構いませんが、神棚の側面などに立てかけるのが一番良いかと思います。


神棚の設置⑤ 設置の仕方

まずは場所の確認から。出来れば家の中で一番生活されている部屋がお薦めですね!昔の様に「大黒柱へ設置」という訳にはいきませんが清潔で綺麗な場所をまずは見つけて。

確認して頂きたい所は、設置は南向きに北の方角に置くか、東に向けて西の方角に置くか。

これが基本のルールです。

どちらにしても、家の間取りを基準とした方角・・・・よりも、置きたい部屋を決め、「その部屋の中での方角」で判断するのがよいでしょう。

中には、「北にも南にも置けません。どうしたら良いのでしょうか?」との質問も頂きましたが、これは店主からは何とも言えません。家の諸事情やご本人の都合もあることだと思いますので可能な限り本来の形に沿う祀り方で・・・とお答えさせて頂いております。

いずれまた別のページにて詳しく書きたいと思いますが(「神棚への祈り」参照)設置の際は祈られる時に必ず目線より高い位置にくるような場所にお願いします。

また、座って祈られる方には座った時に祈る視線より高くです。置かれる台は「神棚(棚板)を設置」、もしくは既存の台や本棚、タンスの上が考えられますが、まぁ棚板の場合は問題ないとして・・・・たとえば本棚やタンスの場合はしっかりと安定感があるものを前提として、その下が見苦しくない様に布を掛けたりなどの工夫をお願いします。

「お清め」
簡単で結構ですのでその場所や神棚自体のお清めをします。

洗面器やボールなどにお酒一合・水を同量程度・塩を一掴み入れて頂き、良くかき混ぜます。(以下、清明水)これは店主が地鎮祭や屋敷祓い、その方のお祓いをさせて頂いたりする時に使わせて貰っているものですが、この清明水に榊を浸し、さらに良く清明水を切っておく。そしてこれをお清めしたい場所に「ぺチ、ぺチ」と当てて邪気を払います。どなたでも簡単に出来ますので重宝しております。使い終わった榊は神棚には決してあげないように燃えるゴミにて処分してください。

「設置」
お清めが終わり、神棚(宮形)の戸を開いてまずは神々様にご鎮座して頂きます。お札の所でも軽く触れさせて頂いたのですが、直接息が掛らないように半紙などを口に挟んで納めるのが丁寧で好ましいですね。

本来は正式な神職の方に来て頂くといろいろと勉強にもなり、きちんとやってくれるか丁寧に指示して下さると思いますよ。また、素人玄人と関係なく、「自分でやってみたい!」という気持ちも大切だと考えております。

お清めが終わり、宮形を置いて、その中にお札を納める。

そこまでされたら次の図を参考にして神具並びに供物を設置してください。その後は魂入れと祈りに続きます。

<図>※準備中


神棚の設置⑥ 供物について

お供え物と書いて「供物(くもつ)」と読みます。もう少し小難しく呼ぶなら「神饌(しんせん)」ですね。

間違われる方もいらっしゃるのですが神様は素材をそのまま、「調理してないもの」を好まれます。(反対に仏壇にお供えするものは調理した後のものですね)だからと言って「調理したものは絶対にダメなの??」と聞かれればそうではありません。神社によっては「熟饌(じゅくせん)」と呼ばれるもので調理済みのものをお供えさせて頂く事もございます。ただしこれは神祭の時のみ。神棚(宮形)にはやっぱり生のものが一般的ですね。

お米は生米、水にお塩にお酒。塩などはこだわっている方はとことん「素材」にこだわっていらっしゃる様ですが、・・・・普通に「塩」であれば何でも結構ですよ~。(ただし、味の素類は避けてくださいね・・・・・・)

根のもの・土のもの、草のもの・海のもの・山のもの。果物に季節のもの・頂きもののお菓子なども自由にお供えして頂いて結構です。

また、神道には直会(なおらい)というものがございます。

これは一度、感謝の気持ちでお供えさせて頂いたものを神々様と喜びを分かち合うという形で一緒に食すことですね。なので、一度お供えさせて頂いたものを悪くならない内に引いて食しても何ら、問題ありません。

反対に避けないといけないものは・・・・・「臭いの強いもの」、ニラやにんにくといったもの。

そして動物の肉は「四足」は禁止です。(そうなると肉は必然的に鶏肉になってきますが)この辺りを大まかに守って頂ければ結構です。

店主の場合、頂きましたお土産などは最初に神棚に上げさせて頂きます。そして、悪くなる前に店主の口の中に入ります(笑)その時ももちろん、神様に感謝です。

「○○さんより頂きました。下げさせて頂き私も頂戴いたします」

心のこもった品物を頂いたとき、それがたとえ好物でなくとも、失礼のないものを相手様より頂けば悪い感情を受けないように、神様だってきっと、あなたの心のこもったお供えものならば多少間違っても大目に見てくれるはずです。あまり形だけに縛られるのはダメです・・・・・

しかし、礼儀は礼儀で大切です。

可能な限り忌み嫌われているものは避けるようにお願いしますね。

季節によって店主は花なども上げた事があります。少しでも花の美しさで神様も心おだやかにお過ごしくだされば・・・・・との単なる自己満足ですが(苦笑)

悪くなったもの、古くなったものをそのままにしておくのも失礼です。早めに下げましょう。

基本的には1日・15日は榊や供物(神饌)である米・水・塩・酒などは交換時期です。店主の場合、月に一度に米と塩の交換、お酒は季節によってはカビなどが入り易いので日にちを気にせず悪くなったと判断したら交換するようにしています。

下げた後の、米・水・塩は衛生的に問題がない場所であれば撒いて頂いて結構です。私の場合はベランダに米を、塩と水は流し台に流します。お米は遊びに来たスズメが食べるんですよね(笑)

必要な神具のページにも書かせて頂いたのですが、店主は瓶子の代わりに口の小さな一合瓶をそのまま使っています。ガラスだと中が見やすい為、ゴミが入ったり、カビがふくとすぐに判るからですね。

後は特に注意する事はないと思いますが、感謝の気持ちを忘れず上げさせて頂く、下げる時・頂く時も感謝の心を忘れずに。

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携帯の方はこちら→「供物入れ7点セット(中)」


神棚の設置⑦ 魂入れ

お清めをし、神棚を設置。供物類を並べ準備が整った後の大切な儀式です。

目に見えない神様をどうやってお札(神棚)にお招きするのか・・・ここはすごく気になる所でしょう。一番良いのは正式な神主さんや神職の方にお願いして魂入れをやって頂く事。近くのご縁のある社や大きな神社、崇拝する神社の神主さんにご相談されると一番安心出来ると思います。

「これも自分でやりたい・・・」

そのお気持ちは結構ですし、結論から申せば「出来ます。」ただし条件がございまして、必ず考え方や心構えをしっかりと学ばれ、最低限の基礎知識や考え方をきちんとご理解して頂いている方に限られると思います。以下は古神道の道を歩ませて頂き11年目の店主の考え方ですが参考にしてください。

神棚(宮形)は一つの「駅」だと仮定しております。目に見えぬ、触れぬ神様に対して、「ここにいつでもお降り頂ける駅がありますよ」と新設の駅のお知らせをする。認識して頂く。一度は降って頂くのです。これが「魂入れ」ですね。

後ほど、「日々の祈り」で詳しくお話しますが一度認識して頂くとその後は、降るか、降られないかは神様の自由。「最初に魂入れはしているはず。」とその掃除を怠り、埃だらけで何も手入れが出来ていない神棚に毎回、神様が降られるかと言うと・・・そうは思いません。

同様に大切なものは何か?ここで「日々の祈り」が大切にもなってきます。

その祈りが心からの本心か、またきちんと神様と共に歩まれているのか、誠意が感じられるか、真剣なのか。これは神様が判断されることなので店主からは何も言えませんが、神々様はきちんとその方の「心」を見て下さっており、それが一番重要だと思っています。

神棚(宮形)の金額やその礼式の形に深く左右されずに「心」が大切。反対に考えれば、どなたでもこの「心」を大切にして頂ける方であればいずれ神様はその心にお応えして頂けると店主は信じています。なので「何も知らない方には無理です。」とは決して言えないのです。

「神様に対しての知識がある、作法や儀式に詳しい」と、「神様に対しての考え方や心構えがある」とこの二つを絶対に一緒にしないようにお願いしますね。ここだけの話ですが、店主自身もいつの間にか溜まった知識が邪魔をし、迷ってしまう事も多々ございます(苦笑)“かなり詳しい”のが良いとは思いません。

“心から理解している”が大切だと思います。これが魂入れでは重要な要素になると考えています。

神々様がその心を見て私たちの”理解””心構え”を少しでも納得して頂く。これが魂入れではないかと考えております。


神棚の設置⑧ 日々の祈り

日々の祈り・・・これはご自由で結構ですよ。あなたご自身にお任せします。

基本の考え方や心構えがあれば、特にそう神道の祈りとは形式に縛られるものではございません。

ただし敬いを持つことによって出来あがった、伝統によって守られているルールはいくつかございます。まずは「二礼二拍手一礼」です。二回頭を下げ、二度柏手(かしわで)を打つ。

店主の場合はここで「天津祝詞」を奏上いたします。これも必ず覚えなければいけないものでもございませんし、最初は文字を目で追いながらでも結構です。これは神様に対する「正式な挨拶」の様なもの。これを数回奏上し、そこから“祈り”に入ります。

ではその“祈り”とは。

“祈り”とは“お伝えさせて頂く事”。ここで最初の「心構え」に戻って頂きたいのですが、神々様への感謝と一緒にもう一度、自分の心と向き合ってみる。

向き合い、新たな気持ちをお伝えする。「祈り」と呼ばれる時間を使ってです。

「何を伝えるのか」

これも参考までに・・・店主の神棚に対しての祈りとは、まず今“自分が”ある事への感謝の気持ちですね。そして、これから先の人生に置いての目標や目的を明確にする事。そこへ向かうには何が必要なのか、何が足りないのか(手段というより心構えですね)、反対にどんな気持ちが邪魔をしているのか(内心を見つめ直す事によっての反省ですね)これをゆっくりとした時間の中で神々様と向き合い何度も改めさせて頂く。

「祝詞」とは言霊的な意味合いも多分に含まれておりますが、その効果を求められる方には何も変わらないと思います(笑)

人間の祈り(念)とは物体がないそのものに力が宿るものですが、祝詞自体は動かない壁を動かす特効薬のような呪文でも何でもありません。そこに今までの自分の反省があって、更に次に向かう向上心があって・・・日々の努力の積み重ねと前に進む勇気が出てくる。

このすべてを総称して店主は「祈りとは願うことだけでなく、お伝えする事、総じて“宣言すること”なんですよ」とお伝えさせて頂いておりますが、これがすべて揃ってはじめて「祈り」になるのではないかと考えております。

「一日に3時間祈らせて頂いております。」

これはこれで素晴らしい事だと思います。ただし、それで何かを期待したり、「現実は何も変わらない・・・」と不満に思われている方々は、祈りの時間を1時間にして後の2時間は現実の社会で勇気を持って何事にも共感する事や好奇心を忘れず挑戦して頂いた方が、短縮した一時間の祈りでも意味が深いものになってくると思います。

幸せは待っていても来ないし、欲しいものは空から降ってくる訳ではありません。自分達が歩いて、はじめて神々様とは手を差し伸べてくれたり、方向を示してくれたり、背をそっと押してくれたり、道行く障害や災難を知らずして祓ってくれていたりと・・・

最初に書いておりますが、「神様への感謝」

これは実感しないとなかなか本当の感謝は難しいでしょうし、(生きているだけで感謝の心をお持ちになれる“心構えや考え方”が出来あがっている方は別ですが)その為には私たちがまず実際に動く事、行動すること。実感すること。これが大切ではないかと思います。

そしてその決意や想いを神様に伝えることが出来れば、それはいい祈りだと言う事ですね。

まず最初に、「神饌の上位・下位」 を覚えましょう!お供えものにしても内容によって「上位・下位」が決まっております、、、、、神様って以外と細かいんですよね(笑)家違います、ルールを定めたのは人間。神社のお供え物の仕方と、神棚でのお供え物の仕方は同じなんですが、「神棚」の場合はすべて揃えるわけでもございませんし(本祭の時に供物の量を調節して省略する神社ももちろんございます)、スペースの問題もございますので最低限、「水・米・塩(そして酒や榊があればなお良い)」ぐらいを覚えておけば大丈夫です。あとは豆知識程度で構わないと思います。

まず、供物の「種類」の上位から覚えましょう。

つづく。